2012年8月 キューバのリバイバル

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賛美チームが楽器を置き、歌声と拍手が静まりました。次はスーザが話をする番です。信仰を持ち始めて間もない彼女からは、キリストへの喜びや熱意が周りの人々に伝わってきます。クリスチャンになる以前の彼女の生活は困難でしたが、何十年もの間宗教的弾圧の中で生きた昔の信仰者たち程ではありません。2年前、隣人がスーザにキリストについて話をしてくれ、隣人と共に祈りました。話を聞いた時は良く理解できませんでしたが、隣人と祈った晩、スーザは不思議な新しい光と喜びを感じました。そして彼女は小さなハウスチャーチに参加し、主を受け入れました。そのハウスチャーチは成長して場所を移し、今ではスーザの住むアパートの正面の2部屋をいっぱいにしています。スーザは見慣れない顔ぶれが数人いることに気がつき、証を始める前にこう言いました。「キリストにある兄弟姉妹を代表して、皆さんをこの交わりに歓迎します。」

安定した祈り、答えられた祈り
キューバでは、卑しむべき貧困と近代的な西洋社会が共存しています。この島の国民の平均寿命は79歳と長く、識字率は約100%を誇っていますが、毎日の生活の中では、食料や電気不足、健康や交通システムの弱化、社会福祉の劇的な低下などが起こっています。キューバのクリスチャンのほとんどは信仰を持ち始めて間もない人たちです。1959年以前から教会の成長は増加に向かっていましたが、キューバ革命によってその努力は妨げられました。
全体主義の独裁者であるフィデル・カストロが力を持ち、キューバは「無神論国家」と宣言されました。それによりキューバのクリスチャンは全ての大切なものを失いました。彼らの牧師、教会堂、そして自由。教会のリーダーや宣教師が追放されてしまっては、どのようにして信仰を保てるのでしょうか。その土地に昔からあった強い教会は残り、信徒は隠れて集まっては神が教会を再建してくださるよう祈りました。何年ものとりなしを経て、神はその祈りに答えられました。

この20年の間でキューバのプロテスタント教会は驚く程の速さで増加しています。キューバ人口の10%である100万人以上の人が、活発な福音派のクリスチャンになりました。1991年にソビエト連邦が崩壊したことによりキューバは打撃を受け、この頃に宗教の自由化も進んだのです。また奇跡的なことに、キューバの権力者たちは討論の自由を実現するために、国の憲法から「無神論国家」という言及を取り除きました。また、1998年にはローマ教皇ヨハネ・パウロ2世がキューバを訪問し、国民の霊的な飢え乾きが示され、宗教弾圧の中でも信仰を守ってきたクリスチャンにも光をもたらしました。

大きな代償を払った自由
しかしキューバの信仰の自由の改善が広く行われているという訳ではありません。憲法上では宗教の自由が唱われいるにも関わらず、2000年頃から政府はこの自由を法律上で実際に制限しています。教会は登録が必要で、登録されていないハウスチャーチなどのメンバーは権力者たちから嫌がらせを受ける事があります。新しい教会を建築する際は、キューバ政府が厳しく監視し、許可が下りない事もしばしばあります。更に、国から派遣されたスパイによって教会のメンバーを監視されたり侵入されたりする事があります。このような迫害によって解散した教会もありますし、嫌がらせを受けたハウスチャーチのリーダーたちもいます。また、教会のビルの損傷、根拠のない告発、教会リーダーへの脅迫や投獄などを訴える信仰者たちもいます。

ミッションフロンティア誌は、キューバの教会の並々ならぬ働きについて報告しています。
共産主義が引き続キリスト教を弾圧しているにも関わらず、キューバの教会は増加している。福音教会は積極的な伝道活動を定期的に行っており、その活動の土台を祈りに置いている。例えば、一つの教会が行った「アンデレ作戦」は、クリスチャンになって欲しいと思う友人をそれぞれが10人挙げて祈り、彼らを必ず教会に誘うというもの。教会はそのプログラムを1ヶ月間続け、5週目の日曜日には全ての友人たちが実際に教会を訪れた。あまりに大勢の人が訪れた為、牧師は全ての教会員に新来会者に席を譲るように指示した。教会員たちは外に出て、牧師が福音を語っている間、中で福音を語られている友人たちの為に礼拝堂の外壁に手を置いて祈り続けた。そしてその朝、多くの人が救われた!

希望と未来
クリスチャンリーダーや宣教師たちは、たくさんの祈りを必要としています。キューバではクリスチャン増加に伴い、家庭でのバイブルスタディーも急増しています。場所は家の居間から公共のビル、仮設テントまでいたる所で行われています。教会は求道者や礼拝者で満員で、リーダーたちは群衆を導くために熱心に働いています。伝道と弟子訓練の必要性は、多大です。キューバ人口の半数以上はまだサンテリア(アフリカの伝統的宗教の混合と聖人崇拝)を信仰しています。サンテリアは1959年の革命後にキューバに定着しました。サンテリアの実践者たちは、人々が信じている様々な霊の融合を認める事によって、状況を操ろうとします。サンテリアの魔術的、霊的な面は、健康、仕事、家族、その他の問題に直面している人たちを攻撃します。キューバのクリスチャンたちは、誤った信仰をもった多くの人々を、神の真実へと導く為に懸命に働かなくてはなりません。キリスト教の自由が生まれ、教会も増加しているので、力強いリーダーシップの育成とサポートが必要になります。より多くの働き人たちが、子供や青年、未来のリーダーを育成する事、また全ての人が徒歩圏内に教会開拓をする事が祈りの目標です。新しい教会には発展が、ミニスターや信徒たちには教育が、そして牧師とその家族にはサポートが必要です。キューバにリバイバルを起こして下さった神に感謝すると共に、新しいクリスチャンたちへのサポートと、まだ神の自由を体験した事がない人々のために熱心に祈り、働いていきたいと思います。

祈りましょう
  • キューバの信仰者たちが、拘束的な規制、嫌がらせ、脅迫から耐え忍ぶ事が出来るように。
  • 教会の修復と発展、聖職者や信徒への教育、実り多い伝道のミニストリーに具体的な助けがあるように。
  • サンテリア信仰者の目が開かれ、救い主キリストとの個人的な関係を求める事が出来るように。
  • 政治的リーダーの救いと、人々のために知恵のある公平な行政が行われるように。
Lauann Anderson 著
高山 沙織 訳