2012年7月 シエラレオネで女性として生きぬくこと

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25歳のイサタは4人目の子供をあやしながら、彼女の前で話している女性に熱心に耳を傾けていました。その医療ボランティアワーカーの女性も、イサタのように幼い頃に宗教的儀式として女性器切除を強いられ、それによる痛みや混乱などを良く知っているようでした。彼女はシエラレオネの多くの女性と同じように、妊娠や出産で命の危険があるにも関わらず若くして結婚をするしか生きる道がありませんでした。そんな彼女のイサタを助けたいという熱心な気持ちに心を動かされ、イサタは近所のクリニックで彼女から定期的に診察を受ける事に同意しました。無料の診察なので、夫が許可してくれることを期待しつつ、、、。

汚れてしまった宝石
紛争ダイヤモンド、内戦、切断術、少年兵。悲しいかなそれらがシエラレオネと聞いて人々が連想する言葉です。シエラレオネの首都のフリータウンは、奴隷制廃止後にイギリス兵から解放されたアフリカ人奴隷の移住地として作られました。旧イギリス植民地はかつては西アフリカの王冠にとっての宝石のような存在で、西アフリカで初めて大学を持った国でもありました。
しかしそんな良い時代は長くは続きませんでした。世界的にも最も裕福な国の一つになるかもしれなかった人口500万人のこの海沿いの国は、ダイヤモンドをめぐって長い間内戦、政府の堕落が起こり、結果的に国の財政が悪化し、何年にもわたり国連における発展指数の最も低い国になりました。
1991年から2002年に起こった内戦では受けた暴虐から自分たちの生活を再建しようとする世代の人々が生き残りました。200万人以上の国民は戦争の途中で退去させられ、数万人は殺されました。数えきれない程の若い女性は捕えられ、レイプされ、性的な奴隷、料理人、ジャングルに住む反逆軍の運搬人として強制的に働かされました。この内戦中に257,000人もの女性が、性的虐待を経験しました。
このような貧しさの中では、女性が一番の犠牲者となってきましたし、これからもそうなるといえるでしょう。シエラレオネのすべての子供にとって大人になることは困難を伴うことですが、女の子にとっては特にそうです。

女性にとっての試練
生まれたときから試練は始まります。シエラレオネは幼児死亡率、妊婦死亡率が世界一高い国です。多くは適切な健康管理で防げるものです。例えば、数日間のお産に耐えている、または他の出産合併症などに直面している女性への帝王切開することなど。幼児期を生き抜いた女の赤ちゃんには、次の試練が待ち構えています。シエラレオネは世界一男女が不平等な国だと言われています。女性の識字率は24.4%と、男性の46.9%に比べるとかなり低くなります。ほとんどの女性は6年以上の学校教育を受けていません。文化的に女性は家庭内の役割をするものと考えられているので、教育を受ける事は優先ではありません。しかし、教育の不足が、貧困、暴力、エイズなどの感染に繋がっているのです。シエラレオネの女性が直面する他の問題は、女性器切除(FGM)です。生殖器の切除は女性の性的衝動を抑え、乱交を防げると考えられていますが、結果的には精神的ショック、感染症、出血多量死などの、即時の問題を引き起こします。長期的には、精神・心理的な問題、難産、不妊症、尿路や生殖器官の感染などの問題が起こります。
この国では長い間女性器切除を行ってきており、最近の国連の調査によると75%の女性が切除を経験、また国内の90%以上が女性器切除を女性への仲間入りの大事な儀式だと認識しています。「ボンド」と呼ばれる団体は、若い女性を大人の女性の仲間入りをする助けをしています。少女たちは度々ボンドが管理する奥地へと連れて行かれ、数日間に渡って女性になるとはどういうことかを教えられます。女性器切除を除けば、このような儀式は彼女たちにとって価値のあるものだと言えるでしょう。青年期まで生き延びられた少女たちにもまだ試練が続きます。他のいくつかの国々よりも一般的ではありませんが、強制結婚が行われる事があります。若い女性の多くは年配の裕福な男性に嫁ぎ、すぐに子供を作る事を求められるため教育を受けるチャンスはありません。このような強制結婚はシエラレオネの女性の発展を妨げている大きな原因です。そして最後に、大人になった女性にも病気になるリスクが高く、平均寿命は約5059歳です。

明るい未来
シエラレオネの状況は残酷ですが、一つの希望の光は政府や非政府団体によって女性社会の改善が行われていることです。その一つは、Amazonian Initiative Movement(AIM)という団体で、率いているRugiatu Turayさんはシエラレオネで育ち自身も女性器切除を経験しています。この団体によって、若い女性たちは学校に行く機会を与えられるだけでなく、女性器切除の危険性についての教育を受ける事ができます。また、女性器切除から避難してきた少女たちに安全な住まいを提供する事もしています。この団体は、女性器切除を行っている大人たちへの教育を含めた全体的な取り組み方で、女性権利の戦いや教育に大きく貢献をしています。シエラレオネの女性のために活動している他の団体は、50/50グループといい、議会における女性の悪い評価を改善するために女性議員を教育する働きをしています。彼らは、議席を勝ち取って女性のより良い未来を保証するために働けるような女性議員候補を立てる事にも成功しています。2010年の4月に政府は、妊婦、授乳中の母親、5歳以下の子供への無料の健康管理を提供する法案を実施しています。この法案は高額のため施行することは難しいですが、女性と子供の命を守るためには大切な事です。
これら全てはシエラレオネの明るい未来へと向かっています。しかし、女性のより良い未来に向けて、祈りが必要です。

祈り
・より多くの女性が、少しでも長く、自由な教育を受ける事が出来るように。
・女性の、特に母親の健康管理を改善するために、政府が女性器切除を禁止する大胆さと確信を持つ事が出来るように。
・戦争関係での暴力の被害者が、肉体的、精神的、霊的な癒しを見いだす事が出来るように。
・この貧しい国民を主が回復させて下さり、多くの人が御国に入る事が出来るように。

Olu Rubbin-Coker 著
高山 沙織 訳