2012年4月 メキシコの麻薬戦争


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さっぱりとした服装の6年生、ジュアンーカルロス-モンテロは私立のキリスト教系学校に通っています。彼はクリスチャンではありませんが、政府の運営する公立学校より質がもっと高いと言う事で彼の両親がそこに入学させたのです。彼の家族はメキシコの中流階級です。父は働き者で正直な男性であり、アメリカの会社のセールマンです。愛に満ちた母は毎日息子の為にお弁当を作ってくれます。モンテロ一家の生活環境は一見平和で安全なようですが、実はそうではありません。麻薬に関連する暴力が地域に蔓延していて、特に過去5年間で彼らの生活は大きく変わってしまいました。
ジュアンーカルロスの両親は銃撃戦に巻き込まれる危険性があるので、学校への行き帰りなど、たった2ブロックでも歩く事を許してくれません。学校から家に着くと、ジュアンーカルロスはずっと家の中で過ごします。両親は彼が2匹の犬と一緒に中庭で短い時間だけ遊ぶ事を許してくれますが、それでも遊ぶ時間や家族の時間は彼らの小さな家の中で過ごすと厳しく決められています。
続く戦い過去数年、メキシコの麻薬戦争関連のニュースがほぼ毎日一面を飾るようになりました。
旅行者達は麻薬戦争の影響で、昔は安全であった地域を恐れ、
人気のあった避暑地の地域を避けるようになりました。
アメリカやカナダの教会のリーダーや親たちは、若者達をリスクのあるメキシコに短期宣教旅行に送る事を非常に難しく思っています。シウダッタ-ジュアズなどの(Ciudad Juarez)メキシコ国境の町々は公の戦場になっている地域以外でも、最も暴力のはびこる町として知られています。
問題は大きく複雑ですが、その動機はとても単純だと言う事ができます。アメリカ人の違法な麻薬への貪欲な欲望と、メキシコの貧困の遺産、そしてアメリカ合衆国への近さが違法薬物の長期に渡る取引を増加させてきたのです。
CAIによるとメキシコは常時南米からアメリカに向けて輸送されるコカインの積み荷を送り出す最大の国であり、年間にアメリカに向けて輸送されるコカインの90%以上はメキシコで一度止まり、また輸送されることが概算されます。また、アメリカ市場への、ヘロインやマリファナ、覚せい剤の大きな供給元なっています。
あるメディアの評論家は「メキシコの政府が麻薬戦争の流れを止める事ができないのはカルテルを結んでいるからであり、この戦いに近く敗北するだろう」と言っていました。
ただの傍観者と若者には心配事が大きいでしょう。彼らの将来はどのように見えるのでしょうか?メキシコの麻薬戦争の勢いは、人々と平和が地域に戻ってくる事ができるほど簡単に衰えるようではありません。あるメキシコ人達は彼らの地域の違法薬物ビジネスとの戦いと、アメリカの禁酒法時代の状況と比べる事もしています。
共通点が似ていたとしても、急上昇する出生率、巨大な貧困という現実があるため、メキシコの状況はもっと複雑なものです。

麻薬の文化メキシコの麻薬を扱うやくざ達(ナーコス/narcos)は彼らの仕事を下請けに出します。彼らは、ナーコスジュニアとして知られていますが、若いので手間賃を安く雇えるのです。彼らは道ばたでマリファナを売買するだけでなく、一人につき、数万円の報酬で殺人をする為に雇われます。ということは、貧しい十代の少年が彼の父親が1ヶ月かかって稼ぐだけの金額を、銃の引き金を引くだけで手にする事ができるのです。多くのナーコスジュニアはこの恐るべきライフスタイルを正当化するように、彼らの殺人による被害者は他者に対する恐ろしい犯罪の加害者、例えば殺人や拷問、性暴力の加害者だといいます、
ナココリドス(narcocorridos)は麻薬密売のライフスタイルを美化する歌で、ギャングスターラップのように銃、麻薬、アルコールやセクシーな女性を美化し、誘拐や拷問、殺人や汚職、また国境付近での政府の腐敗を支持しています。多くの人が、金と権力に魅力を感じ欲望を増す、このような音楽を聴いています。またナーコス達は服装にも特定のスタイルがあり、流行の中に取り入れられています。
麻薬密売はメキシコの若者達を破壊しています。世界の他の所のように、麻薬の使用のみが問題なのではなく、麻薬密売が容赦なくダメージを与えています。「だだ、ノーと言いましょう」というナンシーレイガン前大統領夫人が有名にしたフレーズがありますが、これは麻薬の使用を止める事を励ます事はできても、麻薬売買を止める事はできません。メキシコでは「ノーと言う事」で本人や家族への拷問や殺人が起こりかねません。数えきれない高潔なメキシコの役人は麻薬を撲滅するための戦いの中でその命を失い、苦しみは係官の家族や同労者、友人達に広がっています。

答えを探してメキシコ大統領フェリペ-カルデロンは麻薬売買を撲滅する為の戦いを2006年12月、大統領の職についた時から戦ってきました。
多くの良い事がそこから出てきました。しかし、暴力での結果はこの国の魂を傷つけました。過去5年間の多くの誘拐事件はナーコス達の仕事が無くなった事の結果です。以前は教育や訓練なしで、簡単に多くの現金を手にしてましたが、「失業中」の
彼らはライフスタイルを維持する為に誘拐をするのです。どんな人達が誘拐されているのでしょうか?多くは、実業家や大学教授そして家族達で、この事はどんな事よりもメキシコの起業家の魂を失望させました。
貧しさから抜け出す答えは、一生懸命教育を受けて熱心に働く事ではなく、それは国を出て行く事になったのです。

6年生のジュアンーカルロスに話を戻しましょう。彼らの希望は何でしょうか?彼らの希望はどこにあるのでしょうか?
そして、彼らが導きのために頼る事ができる師は誰でしょう?
これらのすべての質問への答えは私達の救い主なるイエスキリストの中にあります。この国の、特にメキシコにおけすべての問題を解決する事ができる地上の人物など決していません。本物であり継続する変化は、イエスとの個人的な関係を通してのみやってきます。腐敗した麻薬犯罪者、麻薬売人、ナコ-スジュニア、そして麻薬使用者も、イエスの愛を聞かなかればなりません。勇気のある、(そして時には恐れで一杯の)政治家達や政府当局者達も彼を知らなければなりません。
イエスは彼らの人生を変革する事ができ、そして彼らは福音と彼らの人生を隣人、同働者、家族や友人とわかち合う事を喜びとします。(第一テサロニケ2:8)

祈りましょう。・ 麻薬密売によって簡単に大金を得る事のプレッシャーの下にある若者のために。
・ 不安感が支配する国内であっても、キャリアを積み始めた若者のために。
・ 正しい事を行おうとしているメキシコの政治家、警察官の安全のために。
・ 麻薬売人達の魂に神様の介入があるように。


ベン デイビス 著
相馬伸子 訳