2011年9月 グアテマラの教育と労働の状態


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マルタは、教室で机に座って、ノートとペンを取り出し、授業の前に先生を待っていました。彼女は11歳ですが、今年、初めて一年間通学することができました。
以前は仕事をしていたので、数ヶ月しか学校に通うことはできませんでした。ほとんどの時間を石切り場で働いている兄弟のための掃除や料理に費やしました。
料理の焚き火の煙で、マルタの目が痛くなるのも困りましたが、今は、新しい学校の単語テストのことが気になります。



回復と不平等
グアテマラは20世紀後半に、大変な困難に直面しました。指導者の国外追放、軍事クーデター、ゲリラの紛争などは、グアテマラの最近約六十年の歴史を刻んできました。
1960年から1996年まで続いた内戦によって、約10万~20万人が死亡し、約100万人が避難しました。
虐殺、拷問、および先住民族の大量虐殺などを含む多くの人権侵害がなされました。それに加え、焦土作戦によって環境破壊や貧困率の増加にも至りました。
1996年に政府が正式な和平協定に調印し回復が始まりました。しかし、この回復が全ての人に平等に受け取られている訳ではありません。
所得の分布には大きな落差があります。グアテマラの上から10%の上流層が、国家消費量の40%以上を占めています。人口の半分以上が国の貧困線以下の暮らしを強いられ、15%の人が極度の貧困の中に暮らしています。
人口の38%を占める先住民族の貧困率は平均76%と高く、極度の貧困層は28%にもなります。 5歳未満児の43%が慢性的に栄養失調とされ、世界の中でも、最も栄養失調率の高い国の一つとされています。2008年以来、政府は国の教育を改善するための対策を講じています。
子供が学校に行けるように優遇措置が貧しい家庭に提供されていますが、農村部の多くの子供たちには、まだあまり門戸が開かれていません。

助成金がない場合、家族は教育費を負担する事になっていますが、払えない家族がまだ多くあります。学費は「無料」ですが、制服、書籍、またその他の消耗品の教育費用は高く、多くの貧しい子供たちは行けません。様々な民間社団団体は、この問題に対処するために、奨学金などのプログラムを始めています。このような団体は、子供の教育レベルを向上しない限り、貧困層の生活基準を変えることはできないと考えています。しかし現状は、貧しい地域で、子供たちは親の仕事や技術を学び、学校には行けませんが家系を支える事で生活基準を何とか維持していますが、彼らの貧困の悪循環はずっと続きます。

児童労働
貧困の悪循環の最悪の結果は、おそらく、児童労働だと米国労働省が認めています。
1999年には、ILO(国際労働機関)は、グアテマラの10歳から14歳までの子供の14.6%が仕事に従事している推定しました。その4人中の3人は、農業関係の仕事をし、先住民族の地域で児童労働率が最高です。子供は、家族の農場で働き、コーヒーやサトウキビなどの収穫を手伝っています。
また、多くの子どもが、家庭内労働者、靴磨きの少年、乞食、大道芸人、また、採石場で砂利を運ぶ労働者や建設労働者などとして採用されています。
グアテマラの首都や主な都市に働く児童買春の問題もあります。エルサルバドルやホンジュラス、メキシコ、ニカラグアからの子どもたちも、グアテマラの性産業に従事しています。

IJM(国際正義ミッション)という団体は、グアテマラの子供たちを含む中南米の子供たちの性的暴力の問題に焦点を当てている団体の一つです。その働きの中で、性産業の加害者に対して裁判を起こすために、証拠を集め、証人の証言を確保したりする仕事をしています。また、 IJMは暴力によって身体的、精神的に被害を受けた子供のためのアフターケアを提供しています。

聖書の召し
IJM は、暴力的な弾圧に対抗する働きは、イザヤ 1:17 「善をなすことを習い、公正を求め、しいたげる者を正し、みなしごのために正しいさばきをなし、やもめのために弁護せよ。」の御言葉に応答する事だと言っています。
そして、この戒めは、当時のイスラエル人に対してのみならず、今の私達にも与えられたものなのです。
その当時、イスラエルは余りにも腐敗に満ちた国となり(イザヤ1:4)、神様は彼らの祈りに耳を傾けないようになりました。(イザヤ1:15)
文明の初めから、神様はその民が正しい事をするように導いています。新約聖書では、ヤコブが書きます:「父なる神の御前できよく汚れのない宗教は、孤児や、やもめたちが困っているときに世話をし、この世から自分をきよく守ることです。」(ヤコブ 1:27 )現代の教会も、この義の召しに従わなければなりません。
現在も、グアテマラの人々がひどい暴力と抑圧の中で苦しんでいます。その一部だけが、癒し、回復、成功などを見つけています。貧困層の人々、またその子供たちのほとんどは、まだそれらを知りません。私たちのグアテマラのための祈りは、神の人々や貴重な子供のための真の愛や情熱からなされなければなりません。

祈りましょう。
・ グアテマラ政府は教育制度の改革に成功し、貧しい家庭が支援プログラムから援助を受けるように。
・ 児童労働者や虐待されている子供たちが自由となり、回復されるように。
・ グアテマラの上流階級の人が、貧困層の必要を認め、支援するように。
・ 教会が、正義のために立ちあがり、家族や子供を集め、新世代に希望を与えるように。



ライアン・ディビス著
リンスコットジェフ&綾訳