2011年11月 ムクアンド部族とムハンビ部族

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乾いた大地の上に座り、イナカンブエコは彼女の村に来た訪問客の話しに耳を傾けていました。子供の頃、彼女はこの世の始まりについて聞かされていました。初めに神が世界を創造された時、人は山で幸せに暮らしていました。しかし彼らは口論し始め、意見の相違と混乱の為お互い理解できなくなり、理解できる者達で集まり暮らすようになりました。そして、彼女の村人達はこの山に住みついたと言うことです。彼女の村に来た訪問客は、よく似た話しが持ってきた本の中にあると言いました。彼女はその本について詳しく聞く為、周りに集まって来た村人達同様、興味津々にその本の話に聞き入ったのでした。

回復しつつある国
西アフリカにあるアンゴラは、2002年に27年間にわたる内戦が終息し、国家再建の途上にあります。石油生産と再定住者による経済成長が著しいと同時に、国内はまだ弱い基盤・腐敗と地雷の存在と戦っています。多くの国民は自給自足農業をしています。
大半のアンゴラ人はクリスチャンにも関わらず、農村地帯の多くはアフリカの伝統的信仰を実践しています。彼らは先祖を崇拝し、動物を生贄として捧げ、呪術医を通して色々な必要が満たされるように頼っています。病気からの癒しは、先祖からもたらされると信じています。
また健康状態は悪く、マラリア・結核・ハンセン病・性病などがあります。一部の人は、冷たい山からの空気、集落で使用される火からの煙により、呼吸器官の問題があります。アンゴラ人の平均寿命は世界一低く38年です。

山の人々
ムクアンド部族とムハンビ部族は南西にあるオムンダ・ヤワンボと呼ばれている大きな山に住んでいます。ムハンビ部族は山の麓に、ムクアンド部族は麓から8時間程登った山頂近くに住んでいます。この2つの部族は違う言葉を話しますが、アンブンドゥ語で大体の意思疎通ができます。
1993年にアンゴラ人宣教師イナシオ・フィオと他2名がこのムクアンド部族との関係を築く為、初めての訪問に行きました。1995年にはイナシオ、妻のイダリナと子供達はムクアンド族の集落に町から移り住みました。村人全てが彼らを喜んで迎えてくれた訳ではありませんでした。年老いた女性呪術医は彼らを避け、決して家の前を通りません。もし彼女に話しかけようとするならば、彼女は反対の方へ走り去って行く事でしょう。また、ある男性はイナシオの足跡が残った土を3人の呪術医へ呪いをかけてもらいに持って行きました。しかし、時間の経過と共にイナシオ達は受け入れられ、村人に神様・聖書・神の言葉について語り始めました。
年老いた酋長のカフェレンゲンゲは白内障の為今では殆ど視力が無く、何年も困っていましたが、町での手術の手配がされ、とても喜びました。ただ視力の回復だけでなく山を下り、初めて町を体験することができるからでした。手術は成功しました。大きな家・車・電気・蛇口から出てくる水・白人-彼は初めて目にする町のあらゆる物に驚きました
その数日後、酋長は静かに思いふけっていました。そしてアンゴラ宣教ディレクターのマルコスに、話があると申し出て言いました。「私はこの何年間あなた方より神について学んできました。今、私はあなた方の町に来て自分の目で見て、町はとても便利な所だとわかりました。ボタンを押せば電気がつき、歩かずに車があればどこへでも行け、水汲みも遠くへ行く事なく、医者もおり、食べ物も買う事ができ、種を蒔いて育て収穫することはありません。あなた方は何もない私達の集落に共に暮らす為にこれら全てを棄てて来られたのですね。この事を考えた時、私は神が本当に善いお方で、神の言葉は真実だと分かりました。」
酋長は熱心なキリストに従う者と変えられ、その後、妻もキリストに従う者とされました。1997年ムクアンド部族で11人が洗礼を受け、教会が始まり、まだ福音を知らない近くの4部族にも伝道しています。

広がる証し
ムハンビ族との最初の接点はムクアンド族を訪ねる旅の結果でした。イナシオとブラジル人宣教師のアマウリ・ドス・サントスはムクアンド部族を訪ね登山用のロバを調達する為オムンダ・ヤワンボにいました。ロバを探すのは大変な事ではないのですが探しても見つからず、苦渋の選択の末、4時間山を登りムハンビ族の集落で探す事になりました。そして水と聖書だけを抱えムハンビ族の集落に近づいた時、1人の男性が両手を広げて挨拶をしてきたのです。彼は、「よくいらっしゃいました。私はあなたをずっと待っていたのですよ。どうぞ私の家に来て下さい。」
イナシオとアマウリは間もなくその男性が村の酋長であると分かり、聞きました。「あなたは私達を待っていたとおっしゃいましたが、どうして来る事が分かったのですか?」酋長は前の晩に夢を見たと説明しました。その中で、手に光を持った2人の男性(1人は白人・1人は黒人)が村に来ました。創造主がその光は村人の為であると言われました。これを聞いたイナシオとアマウリはとても喜び、持って来た聖書、そしてイエス(世界の光)について話しました。これらの後、イナシオはムハンビ族の集落に、聖書を教える為に週1回長距離訪問をする事になりました。
山に住む人達の働きは増えていますが、まだ多くの必要と働き人が求められています。異文化と言語を学ぶことは時間と多大な努力がかかります-そして何よりも心から進んで行動に移してくださる働き人が必要とされています。

祈りましょう。
・ 多くのアンゴラのクリスチャンが主の為に立ち上がり、健康管理指導者が山の人々へ使わされるように。
・ 呪術に対する勝利と、悪霊崇拝信仰の人々に神からの啓示が与えられるように
・ 部族に働きかけているフィオの家族と他の宣教師達のために
・ 部族語を学び、み言葉の翻訳者が与えられるように

ジャマイマ・ライト著
山根 直美 翻訳